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【共通テストのポイント】現高2・3 生の保護者も注目。時代の流れを理解、活かす!! 英語4 技能は民間試験利用。

【キーワード】 大学入学共通テスト

新テストのアウトラインは理解してほしい

 2020年度から現行のセンター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」(2021年1月実施予定)は、現高1生が初めて受験する。現在の高3生、高2生は関係ないことになるのだが、不幸にして浪人した場合には、受験しなければならないから、アウトラインは理解しておく必要がある。世界のグローバル化の波に日本も乗り、対応しようとしているのだから、改革の流れはぜひ知っておきたい。すでに、大学も新しい流れに沿って動き出している。アクティブ・ラーニングを取り入れる大学は多い。
 これは、問題を自分で見つけて解決する力を育てる「主体的・対話的な深い学び」と言える。この流れのポイントは、思考力・判断力・表現力を重視することであり、これをベースにした入試が実施されることになる。

「共通テスト」は6教科30科目で実施

 文科省は、2020年度から現行の大学入試センター試験の後継となる「大学入学共通テスト」の実施方針を決定、公表した。その方針によれば、「知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行う」と示している。
 大学入学共通テストの初回は2021年1月の予定。当面はセンター試験と同様、6教科30科目。従来型のマークシート式に加え、「国語」「数学I」「数学I・A」でそれぞれ3問程度記述式問題を導入する。
 今年11月に高2生らに実施する5万人規模のプレテストの結果も踏まえ、詳細な制度を設計する。出題と採点は入試センターが担う。2024年度以降、地理歴史、公民、理科でも導入を検討する。
 書類や面接などによるアドミッション・オフィス(AO)入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」と改称。高校の成績や共通テストなどによる学力評価を義務付ける。
 英語はマークシート式と「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る民間検定試験が4年間併存し、25年1月実施から民間試験に全面移行する。東京大は現時点で活用しない方針を表明している。

2020年度導入「大学入学共通テスト」のポイント
(1) センター試験を廃止
(2)「大学入学共通テスト」導入
(3) 数学と国語においてマークシートが減り、記述式が導入される
(4) マークシートでも、暗記型から、思考力・判断力・総合的な理解を問う内容に変化
(5)「英語を書く・話す」試験を追加。英検、TOEFL など民間試験を利用する

英語で活用する「民間試験」は8種類

 大学入学共通テストで受験可能な英語の民間試験として、実用英語技能検定(英検)、TOEICなど8種類を認定した。「読む、聞く、話す、書く」の4技能を測る狙いだが、試験ごとに目的や実施方法、検定料が異なる。家庭の経済状態などによって受験機会に差が出やすいなど、公平性の面で課題が残る。
 認められたのは、「ケンブリッジ英語検定」(ケンブリッジ大学英語検定機構)「英検」(日本英語検定協会)「G T E C」(ベネッセコーポレーション)「I E L T S 」( ブリティッシュ・カウンシルなど)「TEAP」(日本英語検定協会)「TOEFL」(米ETS)「TOEIC」(国際ビジネスコミュニケーション協会)の7団体8種類。
 コンピューター上で出題、解答できる試験もある。級の区分などを踏まえると計23種類となる。英検は「読む、聞く、書く」の3技能の合格者だけが「話す」試験を受けられる現行方式が認められず、全員が話す試験を受ける方式を新たに導入する。

問題点もあり、まだ詰める必要がある

【民間試験利用の問題点】
①受験生は4~12月にいずれかの試験を最大2回受験できる。
②一斉受験のセンター試験に比べ家庭の負担増。
③経済状態や居住地域により受験機会が左右される。
④公表された各団体の実施計画で懸念は解消されていない。
⑤試験の検定料は6千~2万5千円程度と差がある。比較的安いGTECと英検は、実施体制を厳格にするため現行より3~8割程度高くなる。

共通テストは現高1生が21年1月受験

 2020年度、国立大学の入試制度が大きく変わる。年度だから、4月1日~翌年の3月31日まで。2020年度というと、時期が間違えやすいので整理しておくと、21年1月に「大学入学共通テスト」(以下、「共通テスト」)が、2月以降に各大学で「個別入試」が行われる。
 つまり、新制度は21年4月の大学入学者から適用されるので、現在(1 8年時点)の高校1年生が対象となる。現行の入試制度に例えると、「共通テスト」がセンター試験、「個別入試」が2次試験ということになる。
 「共通テスト」は、「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」の6教科3 0科目から選択して、受験する。22年4月から新学習指導要領が実施されるから、2 5年1月に新指導要領に沿った「共通テスト」が実施されることになる。

センター試験以上にスピーディさが必要

 高校関係者の印象は、2回目の試行調査(プレテスト)は、昨年の1回目のテストより易しかったが、「現行のセンター試験よりも難易度が高い」だった。
 英語のリーディングでは、前回の試行調査と同様、発音やアクセント、語句整序、独立した文法問題などは出題されず、純粋な読解問題のみが出題された。試験時間に対して量は決して少ないとはいえず、センター試験以上にスピードが求められるという。
 ほかの教科の分析でも、「現行のセンター試験よりも難易度が高い」「従来の“暗記”では太刀打ちできない」「設問を読み解く力も含め、思考力や発想力が必要な問題が多い」といった傾向がみられる。文科省が示す「共通テストにおける問題作成の方向性」を踏まえ、現行のセンター試験との違いが、今まで以上に明らかになってきたようだ。
 今後は、2018年度中に試行調査の結果を公表予定。20 19年度初頭に予定する「大学入学共通テスト実施大綱」の策定・公表を経て、2021年1月中旬に「大学入学共通テスト」を実施する。

国立大個別試験では「学力+姿勢」も

 「個別入試」では、現在の2次試験のような学力を一辺倒の内容から、学力では測れない能力や姿勢もみる方向になりそうだ。そのために、多くの大学で調査書、志望理由書、学習計画書などの提出や、小論文、面接、プレゼンテーションを課すことなどが検討されている。
 こうした入試選考方法については、すでに大学ごとに実施されている推薦入試、AO入試などを参考にするとイメージしやすい。高校での学びの取り組みやその成果をチェックし、特色がある学生を求めている。大学に相応しい学力があるかどうかを判定するのがねらいで、能力、意欲、適性、志を多面的に評価する試験だ。
 受験の際には、高校などが作成する調査書、学業活動報告書、推薦書のほか、志願者による学びの設計書を提出する。

東京大は英語民間試験を必須とせず

 東京大は2018年9月26日、2021年度一般入試の出願要件について発表した。出願資格は「CEFR対照表のA2レベル以上」に相当する英語力とし、英語民間試験の成績の提出は必須とせず、民間英語試験の成績または同等の英語力があると明記された調査書の提出を求める。
 また、どちらも提出できない場合は理由書を提出する。ちなみに、「A2レベル」は、A1からC2までの6レベルの下から2番目で、実用英語技能検定(英検)の準2級から2級に相当する。
 民間試験は、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るために導入される、共通テストの目玉だが、目的が異なる試験の成績を比較することや、受験生の住む地域や経済的な状況で格差が生まれることに懸念があり、活用方法を決めていない大学が多いのも事実。
 英語民間試験は受験日時、機材や場所の設定などの関係で、手軽にできるわけではない。泊りがけで出かけて受験するのでは、経費がかかってたまらない。
 東京大が成績提出を必須としないことで、他大学への影響も大きいとみられる。