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【高大接続改革③:新テスト進行予定】「新入試制度」の導入、これが今後のスケジュールだ。外部資格・検定の受検料は?

【キーワード】 大学入学共通テスト | 高大接続

2040年18歳人口は約88万人に

 現在進行中の「高大接続改革」は、20年後の2040年を見据えた中で導入されている。
 国立社会保障・人口問題研究所によれば、本格的な人口減少社会の到来により、大学へ進学する18歳人口は、2030年約103万人、2040年約
88万人と予測されている。2005年には約137万人、2016年には約119万人だったことを思えば、減少ぶりは怖い感じがする。
 この状況の中で、国を維持するためには、大きな変化が伴わざるを得ないことは容易に分かる。
既存の産業構造、就業構造、さらには人々の生活を一変させる可能性を秘めている。
 その時、大学が果たすべき役割は大きい。今後、一人ひとりの実りある生涯と国の持続的な成長・発展、人類社会の調和ある発展のためには、人材育成と知的創造活動の中核である大学が一層重要な役割を果たす必要がある。そのためにも、高大接続改革が欠かせないのだ。

英語は4技能、国語・数学は記述式問題

 先に述べたように共通テストでは、国語及び数学において、マーク式に新しく記述式問題を加える。さらに、英語の4技能(聞く、読む、話す、書く)を適切に評価するために外部資格・検定試験の活用を定めている。
 記述式問題の導入は、多様な文章や図表などをもとに、複数の情報を統合し構造化して考えをまとめたり、その過程や結果について、相手が正確に理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価することを狙いとするものだ。
 国語については、80字~120字程度の問題を含め3問程度を想定しており、出題範囲は当面、高校の共通必履修科目として設定される。
 数学については、数式・問題解決の方略などを問う問題3問程度を想定しており、出題の範囲は当面、高校の共通必履修科目として設定され、記述式問題の導入の意義が大きい「数学Ⅰ」の内容とする。記述式問題の採点については、形式面・内容面における正答の条件への適合性を判定し、その結果を複数段階で表示することを想定しており、試行調査(プレテスト)で検証している。

英語資格・検定試験は6段階別で評価

 英語資格・検定試験の結果については、CEFR(セファール)の6段階別評価と併せて提供し、基本的には大学や大学団体の判断で活用してもらうことになる。
 資格・検定試験を活用するためには、検定料の負担軽減が重要な課題となる。文科省では、負担増が大きくならないように、各試験実施団体に求めている。受験生としては、検定料がいくらぐらいになるのか、早く知りたいものである。
 また、文科省は「障害等のある受検生への合理的配慮をしていることの公表」を認定の要件としており、適切な手段を提供するよう各資格・検定試験の実施団体に求めている。
 試験会場の少なさなどを考えると、受験生にとっては、準備期間を含め、結構な負担になりそうだ。

「一般選抜」の評価方法の改善点は?

 変化するのはセンター試験だけではない。大学が個別に実施する入試についても改革が求められている。名称も2021年度入試から、一般入試は「一般選抜」へ、AO入試は「総合型選抜」へ、推薦入試は「学校推薦型選抜」へと変更される。以下に、文科省が指摘した現行入試の改善点を見てみよう。
 「一般選抜」(現行:一般入試)における評価方法の改善点は、以下の通り。
・筆記試験に加え、調査書や志願者本人が記載する資料等(例:その他、エッセイ、面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、各種大会や顕彰等の記録、総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料や面談など。)の活用に努める。
・各大学の入学者受入れの方針に基づき、調査書や志願者本人の記載する資料等をどのように活用するのかについて、各大学の募集要項等に明記することにしている。
 また、個別試験の試験科目には3つの課題が指摘されている。
(1)出題科目が1~2科目の場合があり少ない。
(2)記述式問題の出題を実施していない場合がある。
(3)「話すこと」「書くこと」を含む英語4技能を総合的に評価出来ていない場合がある。

「総合型」と「学校推薦型」のポイント

 「総合型選抜」(現行:AO入試)の出願時期は9月以降(現行8月)、合格発表時期は11月以降(現行では設定なし)としている。
 また、変更の観点は以下の通り。
(1)「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する
ために必要な期間を考慮すること。
(2)高校教育や本人の学習意欲への影響等の観点から、教育上、より適切な出願時期とすること。
(3)学校推薦型選抜の出願時期も考慮し設定すること。
 「学校推薦型選抜」(現行:推薦入試)の出願時期は11月以降(現行通り)、合格発表時期は12月以降(現行では設定無し)になる。また、各時期を設定した観点は以下の通り。
(1)高校の推薦を踏まえ、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するために必要な期間を設けること。
(2)総合型選抜との関係も考慮すること。

「共通テスト」導入スケジュール
2019年度 「実施大綱」の策定・公表
(2019年度初頭目途)
2021年度 「大学入学共通テスト」の実施
(2021年1月実施)

新学習指導要領に対応した
「実施大綱」の予告
2023年度 新学習指導要領に対応した
「実施大綱」の策定・公表
2024年度 新学習指導要領に対応した
共通テストの実施
「高大接続改革」の必要性

(参考 文科省:「高大接続改革」の必要性 2017.11.01)