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【高大接続改革②:新旧テストの違い】「共通テスト」はセンター試験とどこがどのように異なるか。記述と英語外部試験の利用。

新しい時代に対応するための入試改革

 文科省は2021年度入試(2021年1月実施)から、「センター試験」に代わって「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)を導入する。2021年度の入学者を募集する入試なので、ここでは混乱を避けるため「2021年度入試」と呼称する。初年度の対象は、新高2生で、新高3生は現行の「センター試験」のラストイヤーとして受験するが、浪人した場合は、新しい「共通テスト」で対応しなければならない。
 少子高齢化、グローバル化、IT化が進むなど、世の中は大きく、速いスピードで変化している。例えば、これからの社会では、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)、ビッグデータの活用などが、もっと進化・普及する。今までのように暗記した知識を試し、必ず正解のある入試問題を受けさせるだけでは、これからの社会では通用しないのではないか、と国は考えているのだ。

「学力の3要素」を身に付ける

 文科省は、これまでのセンター試験や2次試験に見られる知識偏重型、1点刻みでの選考方法では、将来の社会に対応する人材が育たないという認識を持ち、「学力の3要素」(「知識・技能の確実な習得」「思考力、判断力、表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」)を重視することにした。今後の社会情勢に対応するために、学力の「質」を変えたのだ。
 すでに小学校から大学まで、問題を自分で見つけて解決する力を育てる「主体的・対話的な深い学び」、いわゆる「アクティブ・ラーニング」(AL)のスタイルが全教科で導入されてきている。思考力や表現力に比重を置いた入試方式に転換することを見据えた同スタイルは、一方通行の受動的な授業ではなく、生徒自身が学んだ知識を活用する能動的な授業への転換と言える。

グローバル人材の育成、英語の4技能

 「グローバル社会」(国際化)・「ネットワーク社会」(情報化)では、瞬時に情報が世界を駆け巡り、スゴイ勢いで社会を変えていく。日本でも例外ではなく、その対応としてグローバル人材の育成が急務となっている。
 2018年に来日した外国人観光客数は、3000万人超に達した。また、少子化による労働力不足をカバーするために、外国人労働者を多く受け入れる政策が本格化する。2020年のオリンピック開催のような、外国人の一時的な増加ではなく、定住者が増えれば、日常的に外国語が飛び交うことになるだろう。
 こんな背景のもとで、共通テストが導入される。入試の変更点は、次ページに示したが、以下に変更のポイントを紹介しよう。

「共通テスト」試行調査・問題例等の特徴
問題
形式
「解なし」問題、「複数正答」問題、
「正答をすべて選ばせる」問題、
「すべて選べ」でも正答が1つ など
問題
内容
「複数の資料を読み解く」問題
「日常生活につながる題材」の問題
「探究活動の授業場面」の問題
「データの活用と予測」の問題 など


「国語」と「数学」で記述式問題を出題

【共通テストの目的】共通テストは大学入学希望者を対象に、高校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することが目的。このため、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行う。
【出題教科・科目等】現行と同じで、6教科30科目。次期学習指導要領にあわせて、2024年度以降は教科・科目の簡素化を含めて見直しを図る。
【記述式問題】「国語」、「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・A」は、マークシート式(正解を鉛筆で塗りつぶす)問題に加え、記述式問題を出題する。
【英語4技能の評価】高校の学習指導要領における英語教育の抜本改革を踏まえ、大学入学者選抜においても、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を適切に評価するため、資格・検定試験を認定し、活用する。
 高3の4月~12月の間で、2回まで受検できる。その成績を国際基準規格「CEFR」(セファール)に基づく段階別成績表示を、要請のあった大学に提供する。

■2021年度入試の変更点&「センター試験」と「共通テスト」の違い
  項目 現行の入試 2021年度入試
(2018年度実施の試行調査(プレテスト)による見込みを含む)
入試 呼称
出願期間
合格発表
(変更点)
大学入試センター試験
(目標:平均得点率=60%)
大学入学共通テスト
(目標:平均得点率=50%)
一般入試(個別入試) 一般選抜
推薦入試
【出願期間】11月
【合格発表】設定なし
学校推薦型選抜
【出願期間】11月以降
【合格発表】12月以降
AO入試
【出願時期】8月 
【合格発表】設定なし
総合型選抜
【出願時期】9月以降 
【合格発表】11月以降
認定試験
7種類
なし 「ケンブリッジ英語検定」、「英検」、「GTEC」、「TEAP」、「TEAP CBT」、「IELTS」、「TOEFL」
 
提出
書類
調査書
など
「学習の記録」
「出欠の記録」
「特別活動の記録」など

【評定平均値】
「指導上参考となる諸事項」
①各教科・科目及び「総合的な学習の時間」における特徴等、
②行動の特徴、特技等、
③部活動、ボランティア活動、留学・海外経験等、
④取得資格・検定等、
⑤表彰・顕彰等の記録、
⑥その他
【学習成績の状況】
入試
科目
国語 【試験時間】80分
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】100分 
【出題方式】記述式+マークシート方式 
*試験時間は記述とマークの両方、3問程度出題
地理歴史
※1
【試験時間】60分(1科目選択)、130分(2科目選択、うち解答時間120分)
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】1科目あたり60分
【出題方式】すべてマークシート方式
公民
※2
【試験時間】60分(1科目選択)、130分(2科目選択、うち解答時間120分)
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】1科目あたり60分
【出題方式】すべてマークシート方式
数学①
数Ⅰ
数Ⅰ・A
【試験時間】60分
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】70分 
【出題方式】記述式+マークシート方式 
*試験時間は記述とマークの両方、3問程度出題
数学②
数Ⅱ
数Ⅱ・B
【試験時間】60分
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】60分
【出題方式】すべてマークシート方式
理科①
※3
【試験時間】60分(2科目選択)
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】60分(2科目選択)
【出題方式】すべてマークシート方式
理科②
物理 化学
生物 地学
【試験時間】60分(1科目選択)、130分(2科目選択、うち解答時間120分)
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】1科目あたり60分
【出題方式】すべてマークシート方式
外国語
英語 ※4
【試験時間】筆記80分、リスニング60分(うち解答時間30分)
【出題方式】すべてマークシート方式
【試験時間】筆記80分、リスニング30分
【出題方式】すべてマークシート方式

※1 地理歴史=世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理B
※2 公民=現代社会、倫理、政治・経済、「倫理、政治・経済」
※3 理科①=物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎
※4 英語(リスニング)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語
【英語 認定試験】=「ケンブリッジ英語検定」(ケンブリッジ大学英語検定機構)、「英検」(日本英語検定協会)、「GTEC」(ベネッセコーポレーション)、「IELTS」(ブリティッシュ・カウンシルなど)、「TEAP」「TEAP CBT」(日本英語検定協会)、
「TOEFL」(米ETS)の6団体7種類。