入試改革の前に合格してしまいたい!!
文科省は8月30日、「令和2年度開設予定の大学等の設置等に係る答申について」を公表した。これで大学の学部・学科を設置するものも含め、20年度入試の変更点が出そろった。それらの変更点をチェックしながら、入試動向を見てみよう。
大きな流れとしては、21年度の大規模な入試改革の前年であるため、大学が変更を控えたと見られ、全体に入試の変更点は少ない。
受験生にとっては、21年度実施の「共通テスト」がプレッシャーとなり、特に「英語外部試験」の活用は、負担になっている。それだけに、早めに合格したいという「安全志向」が強く働くだろう。
20年度入試動向に大きな変更はない
◆「定員管理の厳格化」は継続
19年度入試では、大規模私立大学の難化が目立った。16年度から始まった「定員管理の厳格化」、一定の基準を超えて学生を多く入学させると、国からの助成金が交付されなくなる制度が要因だった。この「厳格化」は20年度も前年同様に継続される。
「超安全志向」の強い20年度入試では、前年同様に難関大を避け、中堅大への志願者が増えると予想される。
◆AO・推薦入試で早めの合格狙い
「今年で何とか合格したい」となると、AO・推薦入試で早めに決めたい受験生が多くなる。大学も早く入学者を確保したいと、思いは同じ。
◆「インターネット出願」の増加
主要な私立大のほとんどが、インターネット出願を導入している。遅れていた北海道・東北の大学も新規導入する傾向だ。全面移行するのか、紙の願書と併用するのかは各大学で異なるから注意したい。
◆「英語外部試験」活用の拡大
新テストでの「英語外部試験」の活用が現実味を帯びてくる中で、20年度入試でも、「英語外部試験」を利用する大学が増加している。各大学も、英語運用能力を持つ入学者の確保をしたいのだ。
大学を設置するもの(私立:2校) | |
湘南鎌倉医療大学 | 看護学部同学科100人 |
名古屋柳城女子大学 | こども学部同学科70人 |
高知学園大学(審議継続) | 健康科学部130人 |
専門職大学を設置するもの(公立1校・私立2校) | |
静岡県立農林環境専門職大学 | 生産環境経営学部同学科24人 |
東京国際工科専門職大学 | 工科学部情報工学科120人 デジタルエンタテインメント学科80人 |
びわこリハビリテーション専門職大学 | リハビリテーション学部理学療法学科80人 作業療法学科40人 |
学部を設置するもの(公立:1校・私立8校) | |
新潟県立大学 | 国際経済学部同学科90人 |
駿河台大学 | スポーツ科学部同学科200人 |
共立女子大学 | ビジネス学部同学科150人 |
岐阜医療科学大学 | 薬学部同学科100人 |
修文大学 | 医療科学部臨床検査学科80人 |
摂南大学 | 農学部農業生産学科80人 応用生物科学科80人 食品栄養学科80人 食農ビジネス学科100人 |
武庫川女子大学 | 経営学部同学科200人 |
広島国際大学 | 健康スポーツ学部同学科70人 |
第一薬科大学 | 看護学部同学科80人 |
時代の流れに沿った学部が人気に!!
大学・学部新設(上表)では、看護学部は2校。ここに来て、「看護」の設置は下火になっている。
学部・学科の設置は、時代の流れに沿って対応されている。20年度は「国際系」「経営系」の増設が目立つ。国際系学部の人気が高いのだ。
ここ数年の傾向だが、学内併願時の受験料割引をする大学が増え、志願者数を増やす要因になっている。受験大学を決める時は、[実志願倍率=実志願者÷募集人員]を参考にすべきだ。また、「予約型奨学金」など、奨学金全般の拡充が目立っている。