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【2020年度「入試変更点」情報】新設予定大学は私立4校。「国際」「工学・情報」系が、「看護」系に代わって増加!!

【キーワード】 私立大学 | 国立大学 | 新増設・改組

入試・難易変動要因のチェックポイント

 初めに受験するにあたって、どのような点をチェックしたら良いか、ポイントを挙げてみよう。
◇入試・難易変動要因のポイント
① 学部・学科の新増設・改組(難易への影響)
② 定員の変更(大規模私大の定員厳格化等)
③ 入試科目の変更(小論文・面接・実技の有無など。英語外部試験の利用等)
④ 配点や入試の日程・会場の変更(配点は得意科目が高いと有利。日程の重複・地方会場の有無など)
⑤ 応募状況・前年の実質倍率(入試では隔年現象が起こる。実質倍率を把握し、実志願倍率にも注目)
⑥ 前年の合格最低点(得点率を検討する。p4参照)
⑦ 志望大学・学部の特徴(卒業後の就職状況など)

専門職大学の新設は公立1、私立10校

 2021年のセンター試験廃止→共通テスト導入という「大幅な入試改革」の前年ということもあり、20年度入試の変更点は例年より少ないようだ。
 とは言っても、大学の新設(認可申請・届出中)はある。4校とも私立の単科大学で、いずれも仮称。

新設予定大学<仮称>
東都学院大学(保健医療学部・定員80人:東京)
湘南鎌倉医療大学(看護学部・100人:神奈川)
名古屋柳城女子大学(こども学部・70人:愛知)
高知学園大学(健康科学部・130人:高知)

 2020年度には、多くの専門職大学の新設(公立1校、私立10校)が予定されている。
 19年度からスタートしたが、新設したのは短大も含め3校に留まった。「専門職大学」は、卒業に必要な単位のうち、約1/3以上は実習・実技の授業としている。豊富な実習・実技を通じて、就職後に役立つ高度な「実践力」を身につけることができる。まだ新受験生の動向が、模試等でチェックされていないが、動向結果に注目が集まっている。
 このほか2020年度には、関西国際大学と神戸山手大学が統合する。2020年4月1日から、関西国際大学に「現代社会学部」が増設され、関西国際大学は5学部から6学部へと拡充される。

群馬・宇都宮の隣県が「共同教育学部」

 学部の新設・改組をチェックしてみよう。
 群馬大学と宇都宮大学は、一部の授業を共通化して両大学で学部運営する「共同教育学部」を20年度に設置する。すでに文科省に設置を申請。両大学はそれぞれの県で唯一、小中高の教員免許を包括的に扱っており、少子化に伴う教員需要の低下を見越して学部の存続と運営の効率化を図るのが狙い。
 国立大学の連携を巡っては、14年度に鳥取大学と島根大学が教員養成の学部を統合、山口大学と鹿児島大学など4組8大学が獣医師養成の共同課程を設置しているが、共同教育学部は全国で初めて。
 共同教育学部では、入試問題や合格判定は共通化しないものの、31単位以上は相手側の大学の授業を履修する。その方法は、インターネットを使った遠隔授業を中心に、教員の相互派遣などを検討している。新しい試みとして他の国立大学からも注目されている。
 このほか新潟大学の「経済社会科学部」、長崎大学の「情報データ科学部」は旧学部を募集停止にし、時代に対応した形で新設する。

時代の流れに対応した「学部」が増加

 最近は、学部増設と言えば「看護」が合言葉のようになっていたが、ここにきて下火になった。2020年度私立大学の「学部等の増設・改組」は、「国際系」学部が目立つ。

私立大学「国際系」学部の新増設
和洋女子大学(国際学部)
麗澤大学(国際学部)
専修大学(国際コミュニケーション学部)
神奈川大学(国際日本学部)
中京大学(国際学部)
甲南女子大学(国際学部)
西南学院大学(外国語学部)など

 国際関連でも、少しユニークなのが神奈川大学国際日本学部だ。ただ1つのグローバルな基準で日本を見るのではない、という視点を重視している。多様な文化や価値観を理解し、足元にある「roots(根)」と広い世界に羽ばたく「wings(翼)」を、ともに学ぶ場なのだ。
 「国際文化交流学科」「日本文化学科」「歴史民俗学科」の3つの学科から構成される国際日本学部では、所属学科に軸足を置きながらも、学科を超えた横断的な学びも大切にしている。
 また、AI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)などが拡大する時代に対応する形で、「工学系」(情報系等)学部の増設・改組も多い。長崎大学の情報データ科学部など。

私立大学「工学系」学部の新増設・改組
東北工業大学(建築学部)
東京都市大学(理工学部)
明星大学(建築学部)
京都先端科学大学(工学部)
龍谷大学(先端理工学部)
大和大学(理工学部)など

 京都先端科学大学は、2019年4月に京都学園大学から校名を変更し、2020年4月京都太秦キャンパスに第5の学部となる工学部と大学院工学研究科の開設を予定している。

「看護・医療系」の増加傾向に歯止め

 ここ数年のブーム的な増加を考えると寂しい感じはするが、看護・医療系の新・増設がなくなってしまった訳ではない。2020年度は、日本赤十字看護大学(さいたま看護学部)、第一薬科大学(看護学部)など。
 また、健康意識の高まりとともに、スポーツ系の学部の新設もある。尚美学園大学(スポーツマネジメント学部)、駿河台大学(スポーツ科学部)、静岡産業大学(スポーツ人間科学部)、広島国際大学(健康科学部、健康スポーツ学部)など。
 このほか、志願者の増減に影響を与えそうなところでは、成蹊大学(経営学部)、岐阜医療科学大学(薬学部)、摂南大学(農学部)など新設(申請中含む)の学部が注目される。
 残念なことだが、保健医療経営大学では、20年度の募集を停止する。ここでは、主な変更点を紹介したが、志望大学については、大学案内を確認しよう。

「入試科目」「募集人員」の変更を確認

 受験生に大きな影響を与えると思われる要素に、「入試科目」や「募集人員」の変更がある。入試科目をガラリと変える大学は少ないが、20年度国公立大学の2次試験では、小論文を面接に変更、面接の新規実施も少なくない。千葉大学、群馬大学、愛媛大学、鹿児島大学など。
 英語外部試験の導入はかなり進んでおり、新規というケースは少なくなっているが、導入を含めて英語外部試験の利用で変更のある大学を挙げてみよう。岡山大学、創価大学、日本女子大学、武蔵大学、立教大学など。
 募集人員の増減の数は少ないが、20年度募集人員に変更がある国公立大学を挙げてみよう。
 北海道大学、北海道教育大学、弘前大学、岩手大学、東北大学、筑波大学、東京都立大学(2020年4月「首都大学東京」より校名変更予定)、新潟大学、新潟県立大学、富山大学、福井大学、岐阜大学、名古屋市立大学、福知山公立大学、大阪教育大学、大阪市立大学、奈良県立医科大学、広島大学、山口大学、徳島大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学など。

2020年度の「キャンパス移転」は少ない

 キャンパス移転も入試変動の大きな要素の1つだが、2020年度は目立つ移転は少ない。
専修大学(商学部→神田キャンパスへ)、
武蔵野大学(看護学部→有明キャンパスへ)、
愛知学院大学(法・経済・経営・商→名城公園キャンパスへ)、
桃山学院大学(経営→あべの新キャンパスへ)など。
 このほか特徴的な入試では、
九州工業大学(国際バカロレア導入)、
玉川大学(スカラシップ入試)、
愛知大学(数学重視型入試)、
名城大学(英語ディスカッション入試)
など。
 21年度入試が大きく変更され、国公立大学を狙う受験生は戸惑うかもしれないが、21年度入試時の使用教科書は今までと同じ。入試は教科書や授業の範囲がベースになっているのだから、慌てないことが大切だ。私立大学では、変わらないケースが多いはず。
 19年度私立大学入試では、一般入試のほかに、枠を広げて推薦・AO入試まで受験するケースが見られた。超安全志向で入学して、後で絶対に後悔しないようにしたいものだ。20年度入試は、上記で見たように例年に比べて変更点が少ない。志望大学の見せかけの倍率ではなく、実質倍率をしっかりと把握し、納得して大学を選び、受験するようにしよう。