【20年度「共通テスト」の特徴】大幅に変わる「共通テスト」!!「国語」「数学」に記述式も、「英語」は民間試験を利用。

センター試験が「共通テスト」に代わる

 現高1生が受験する2020年度入試から、現行の「センター試験」に代わって、新しく「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が導入される。高校の進学指導で、すでに概要は知っているはず。しかし、共通テストの問題内容等については、これから詰められることになる。
 現行の入試制度に例えると、「共通テスト」がセンター試験、「個別入試」が2次試験ということになる。「共通テスト」は、「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」の6教科30科目から選択して、受験する。この入試科目は現行と同じ。
 ここで、入試改革の流れを紹介しておこう。

実施年月大学入試改革の流れと主な変更点
18年11月 共通テストの第2 回試行調査
20年1月 最後のセンター試験実施
20年4月~  共通テスト利用の英語民間試験開始
21年1月  第1回共通テスト実施
22年4月 高校で新学習指導要領の実施
25年1月 新学習指導要領対応の共通テスト実施

新時代に日本人が対応するための改革

 では、入試改革の背景にあるものは何か。社会のグローバル化や人工知能(AI)の技術革新など世の中は急速に変化している。従来型の暗記重視の教育とは違い、新たな価値を創造する能力を育もうという考えが出発点にある。
 文科省は、新時代に対応するため「学力の3要素」((1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力(3)主体性を持ってさまざまな人と協働して学ぶ態度)が重要とし、大学入試改革のベースにしている。
 学校教育の基本となるのが「学習指導要領」だが、18年から小中学校、19年からは高校で新しく導入される。小学校から高校まで、全てに導入される「アクティブ・ラーニング」(主体的・対話的で深い学び)は、生徒同士の学び合い、教え合いを授業で増やそうとする試み。「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」に力点を置いている。

「出題形式」と「英語」が大きく変わる

 「センター試験」⇒「共通テスト」の大きな変更点は、「出題形式」と「英語」である。
【出題形式】現行のセンター試験は、選択肢の中から正答を選ぶマークシート式だが、共通テストでは国語と数学の一部に記述式問題を導入する。
◇国語:8 0~1 2 0字の文章を書く問題を3問程度。
◇数学:数式や文章で解答を書く問題を3問程度。
*24年度から、他の教科でも記述式を導入予定。
【英語】現行の「読む・聞く」に加え、「話す・書く」の4技能を測るため、英語民間試験を利用する。
◇入試センターが認定した8種類の民間試験◇高校3年4~12月に受けた試験の成績の利用*現行の「読む・聞く」の2技能を測るセンターの試験は、23年度まで実施。その後は改めて検討。

高1生の不安の1つは「過去問がない」

 共通テストに最初に挑むのは、今の高校1年生。現行の高校学習指導要領と出題範囲は変わらないため、前年度にセンター試験を受けるなどした浪人生も対象になる。新テストについて、学校現場でさまざまな情報が飛び交い、対策が進められる中、現役の1、2年生には不安や戸惑いの声がある。
 不安の1つは、「過去問」がないということ。新テストなのだから、過去問がないことになるが、これはすべての受験生も同じと考えて、乗り切るしかない。一方、高2生の不安は、浪人した場合のこと。浪人すれば、共通テストの勉強を1年でしないといけなくなるからだ。
 国立大では、AO入試・推薦入試を入学定員の30%まで拡大する目標を掲げている。また、筆記試験が主体の個別試験(2次試験)においても、調査書や志望理由書・面接などが重視されるようになる。
 「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をより積極的に評価するためだ。調査書も改善され、具体的な内容や生徒の特長について記載が求められるようになる。今まで以上に、学習や課外活動などに取り組むことが大切だろう。