高倍率の学部・学科は時代の流れを反映
19年入試「国公立大志願状況」のデータから、特徴的な大学を紹介してみよう。前期・後期・中期日程で、志願倍率が高かった大学はどこであったのか?
高倍率の大学・学部を見ていくと、前期日程:東京芸術大(美術)は例年通りの人気、東京工業大(情報理工学院)はAI(人工知能)やビッグデータ関連への関心、北九州市立大(地域創生学群)は地元志向、後期日程:愛知県立大(看護)は医療系人気、東京外国語大(国際社会)は新設で、グローバル人材の養成など、高倍率が時代の流れを反映した結果だとわかる。
■高倍率上位3学部等(文科省:2019.02.06)
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 東京芸術大 | 美術学部 | 11.4倍 |
2 | 東京工業大 | 情報理工学院 | 9.7倍 |
3 | 滋賀大 | 経済学部 | 6.5倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 東京外国語大 | 国際社会学部 | 29.1倍 |
2 | 京都大 | 法学部 | 25.7倍 |
3 | 福島大 | 人間発達文化学類 | 22.8倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 北九州市立大 | 地域創造学群 | 8.6倍 |
2 | 首都大学東京 | 法学部 | 8.4倍 |
3 | 都留文科大 | 文学部 | 7.4倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 愛知県立大 | 看護学部 | 45.6倍 |
2 | 高知県立大 | 社会福祉学部 | 27.4倍 |
3 | 公立鳥取環境大 | 経営学部 | 26.3倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 長野県立大 | 健康発達学部 | 38.8倍 |
2 | 兵庫県立大 | 社会情報科学部 | 33.4倍 |
3 | 新見公立大 | 健康科学部 | 31.4倍 |
国公立大:薬・看護系統の人気が高い
「19年度国公立大学部系統別志願状況」(文科省:19.02.06)で倍率を前年と比べると、情報分野など時代の流れが見えてくる。
学部系統別の志願倍率は、①「薬・看護」5.0倍(前年5.5倍)、②「人文・社会」4.8倍(同4.7倍)、③「医・歯」4.7倍(同5.0倍)、④「理工」4.1倍(同4.4倍)、⑤「農・水産」3.9倍(同4.1倍)、⑥「教員養成」3.7倍(同3.9倍)、「その他」4.9倍(同5.2倍)。
国公立大の志願者数が減少する中で、学部系統別の志願倍率は前年と同様の傾向を示した。「その他」は①~⑥以外の学部等という意味で、地域、情報文化、体育、芸術、音楽、デザイン、データサイエンス、環境共生など、人気が高く、注目されている学部が含まれている。
私立大:工学・理学系統が前年比で増加
ここで私立大「学問系統別志願動向」(西北出版:19.02.14)を見てみよう。
前年比の増減で大幅にプラスとなったのは、工学・理学系統。近ごろはAI(人工知能)、IoT、データサイエンスなどの情報関連が注目され、受験生もこれらの分野を志向しているようだ。
学際・総合系統はグローバル化を意識した、学力の3要素(思考力・判断力・表現力)に通ずる志向の現れではないだろうか。これからの社会では、学際に通じる俯瞰的な能力が求められるからだ。
系統 | 志願者数 | 前年増減 | 前年比% |
---|---|---|---|
人文科学 | 373,670 | ▲3,339 | 99.1% |
社会科学 | 1,034,622 | ▲8,582 | 99.2% |
理学 | 123,334 | 5,549 | 104.7% |
工学 | /td> | 34,452 | 107.6% |
農学 | 58,608 | ▲3,143 | 94.9% |
;医療・保健 | 90,864 | ▲3,605 | 96.2% |
家政 | 15,281 | ▲41 | 99.7% |
教育 | 76,979 | ▲2,064 | 97.4% |
教芸術 | 649 | 10,888 | 106.3% |
教学際・総合 | 4,984 | 111,181 | 104.7% |