【19年度入試結果②:私立大学編】「定員厳格化」の影響で、上位大学は難化し、敬遠された!!志願者1位は今年も近畿大学。

難関大学の志願者数は軒並みダウン

 私立大学の動向となると、どうしても気になるのが主要私立大学の志願者動向。19年度一般入試でも、近畿大学がダントツの1位だった。1553人減だが15万4672人と15万人を超えた。
 2位は東洋大学で、6569人増の12万2010人。3位は法政大学11万5447人、4位は明治大学11万1755人、5位は早稲田大学11万1338人だ。6位は10万853人で日本大学が入り、ここまでが10万人超だ。
 今年の入試の特徴は、上位大学で志願者減が顕著だったことだ。早慶上理(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)では、東京理科大学だけが増え、全体の志願者減少。MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)では中央大学だけが増え、他は志願者減。
 また、関西の関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)では、関西大学だけが増え、他は志願者減だった。2016年から始まった大都市圏の「定員厳格化」の影響で、合格者が減り難易度が上がったこともあって上位大学の志願者数は減少した。

理系では情報系学部の人気が高い

 受験生の学部志望動向は、文系の人気が高く理系の人気が低い「文高理低」状況が続いてきた。しかし、19年度入試では多少風向きが変わってきているようだ。医療系や栄養系が低迷する一方、私立大学の理工系学部の中には、志願者が増えている大学が数多くあるのだ。
 理系の志願者数が前年を上回った総合大学は、学習院大学・理、南山大学・理工、近畿大学・理工、単科大学では千葉工業大学、工学院大学や芝浦工業大学、東京理科大学、金沢工業大学、大阪工業大学、広島工業大学などの志願者が大幅に増加した。
 理工系の中でも、情報技術の急速な発達を背景として情報系学部・学科の人気が高い。安全志向から大学全体の志願者が減少傾向の難関大学でも、この系統の志願者は増えているケースもある。志願者大幅増で難化した大学には、東海大学・情報通信、明治大学・総合数理、関西大学・総合情報などがある。

ビジネスの実践を学ぶ経営は増加

 「文高理低」と言っても、19年度入試では内容に変化が見られる。文系学部には理論中心型と実践中心型の学部がある。例えば、経済学部・商学部は前者、経営学部・法学部は後者と言える。
 受験生にビジネスの実践を学ぶ学部と見られがちな経営は増えている。例えば、経営学部の志願者が増えた大学には、駒澤大学や産業能率大学、専修大学、東京理科大学、東洋大学、名城大学、京都産業大学などがある。

私立大学でもグローバル・国際が高人気

 国公立大学編のところで紹介したが、私立大学においても同様の現象が見られる。それは、「グローバル」「国際」関連の人気が高い点だ。
 受験生は学部名に国際とつく方がグローバルな力が身につくと考えるようだ。また、学際的な部分に魅力を感じているのかもしれない。
 安全志向から志願者が減少傾向の難関大学もこの系統は別で、法政大学・国際文化や早稲田大学・国際教養、青山学院大学・国際政治経済などが前年の志願者数を上回った。総じて人気の高かった文系学部の出願状況に変化の兆しが見えてきた。

英語外部試験の利用が増加している

 2021年1月から始まる「共通テスト」を見据えた動きかもしれないが、大学ではグローバル人材の育成に向けて、推薦・AO、一般入試の一環で外部試験(英検やTEAPなど)を利用して4技能を測定する動きが目立っている。
 英語外部検定の基準をクリアすれば、出願できたり、英語を満点に換算してもらえたり、加点してもらえたりする。
 19年度入試では玉川大学、東京電機大学(工2部以外)、中央大学、早稲田大学、明治学院大学、工学院大学、芝浦工業大学、日本女子大学(人間社会)などでも、指定の基準をクリアすれば出願できて、個別試験の英語が免除となる出願資格型の入試を設けた。