【21年度入試:「共通テスト」対応】共通テストの英語は、「読む・聞く」の2 技能で実施する!! 志望大学の変更をチェック。

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共通テスト英語は入試センターが作成

 2021年1月16日・17日に実施される共通テストの英語について、大学入試センターは11月15日、英語4技能「読む・聞く・書く・話す」のうち「読む・聞く」の2技能を測るセンター作成の英語テストを実施すると発表した。
 共通テストの英語は、4技能が測れる英語民間試験との併用を予定していたが、民間試験の活用延期で、初回は、2技能のみを測る内容となる。現在のセンター試験の英語は筆記(200点)とリスニング(50点)で、主に「読む、聞く」の2技能を測る。発音やアクセント、語句の並び替えなど、間接的に「書く・話す」力をみる問題もある。

「書く・話す」は大学の2次試験で測る

 21年度の共通テストでは、「書く・話す」も測れる民間試験を活用する予定だったため、発音やアクセントの問題などを廃止した。「読む」リーディングと「聞く」リスニングで、いずれも配点は100点満点とした。「書く、話す」の2技能について、文科省は「各大学の2次試験などで測る工夫をしてほしい」としている。民間試験は、受験生の経済、地域格差への懸念がぬぐえないとして活用延期が決まった。
 大学入試センターでは大学教員ら専門家とともに、センター作成の英語テストを4技能を測る内容に変更できないか協議したが、21年1月16日・17日に行われる共通テストに向け、既に問題の作成が進んでおり、変更は困難と判断した。文科省は今後1年程度かけて民間試験活用の是非を含めた英語テストの検討を進める。

質の高い採点と自己採点が難しくなる

 記述式の導入が延期になった要因には、「質の高い採点者の確保」「自己採点の難しさ」という受験生の合否に関わる重大な問題が指摘されながら、解決する道筋が見えていなかったという理由がある。
 記述式問題は、「思考力・判断力・表現力」を測るとして、17年に導入が決まった。初年度となる21年1月のテストでは、マークシート方式の問題のほかに、国語と数学で3問ずつの記述式問題が出題される予定だった。記述式問題の場合、マークシート方式の解答とは異なり、機械では採点できないので、人手が必要になる。すると、ミスも発生する。
 「自己採点の難しさ」も重大な問題だ。例えば自己採点で「一部正答」としたものが、実際には大学入試センターによって「完全正答」と判断されたり、逆に、「完全正答」と自己採点したものが「一部正答」とされてしまったりする「不一致」が起きることが、17・18年の試行調査で明らかになった。
 プレテスト「国語」の記述式問題での自己採点不一致率は約3割にも上った。自分が何点取れたのかわからないまま出願先を決めなければいけないというのは、あまりに乱暴な仕組みだ。

「高大接続改革」であることを確認したい

 今回の改革は入試改革にとどまるものではない。高校教育、大学教育、入学者選抜を一体的に改革する「高大接続改革」を目指すものであり、入試改革はその1つにすぎない。しかも、高大接続改革は「本当に社会から評価されるような卒業生を送り出しているのか」と経済界などから批判されていた大学側の危機感から出たものであった。
 12年8月、中教審が大学教育の「質的転換」を答申した直後に、文科相が中教審に対して高大接続改革を審議するよう諮問した。大学教育を変えるには、入学生を送り出す高校側の教育も変わってもらわなければならない。
 しかし、高校は「大学入試が変わらないと、高校教育は変えられない」と言う。ならば、高校教育、大学教育、大学入試を連動させながら変えようというのが今回のプログラムなのだ。そんな問題意識がすべての出発点だった。
 このような大きな改革、国家プロジェクトは、一度決めたことを簡単に変えては上手く行かない。慎重に案を練ってから、国民に提案すべきだろう。