【19年度私立大入試の特徴】「定員管理の厳格化 で、大規模私立大の難化は続く!!専門職大の影響はあるか?

小規模大の「定員割れ」(36.1 %)が減少

 日本私立学校振興・共済事業団は8月2日、入学者数が定員よりも少ない「定員割れ」の私立大が今春は210校(36.1%)あり、前年より19校減ったと発表した。
 規模別に見ると、定員が3000人以上の大規模大(24校)は定員が2530人増え、入学者が5241人減少。一方、定員1000人未満の小規模大(452校)は定員が684人増加、入学者も3762人増え、充足率は102.19%だった。
 文科省は入学者が一定の基準を超えると私学助成を打ち切るなど「定員管理の厳格化」を進めており、この影響で小規模私立大の改善がみられたという。地方の大学からは「学生募集がようやく上向いてきた」と新たな規制への期待が示された。
 一方、高校からは「安全校含め、受験校全てで不合格になった生徒がいる」「浪人する者が急増した」との声が聞かれた。上位私立大が難化したのだ。

東京の「人気私立大」は合格が厳しい

 19年度から、東京23区内に立地する大学については、定員増や学部増設の申請が、今後10年間できなくなった。難関~中堅上位の人気校からは、急テンポな時代の流れの中で、固定することを疑問視する声が多い。該当する大学は、難化が見込まれ、東京近郊や名古屋、京阪神の大学へ志願者がどの程度流れるか注目されている。
 また、「定員管理の厳格化」の2019年度の基準値は、予定の6月を過ぎても明確に示されていない。大規模私立大を中心とする合格者の絞り込みで、4月に入っても追加合格を出したり、追加募集が間に合わず、結果的に定員割れになったりしたという。該当の大学にとっては、大きな問題だ。
 この影響か、大学に在学しながら再度受験する「仮面浪人」が増えているという。「こんなはずではなかった」と、感じている学生が多いのだ。もし、19年度の基準が18年度と同じでも、合格者の絞り込みが続くことになる。私立大難化の状況は変わらない。

4年制大学は専門職大学と競合しない

 産業構造が急速に転換する中、優れた専門技術を身に付け、新たな価値を創造することができる専門職業人材の養成が急務となっている。そこで、文科省は、大学制度の中に位置付けられ、専門職業人の養成を目的とする新たな高等教育機関として「専門職大学」「専門職短期大学」の制度を設けた。
 「専門職大」「専門職短大」の制度は、専門職を担うための実践的で応用的な能力を育成・展開することを目的とする。教員には実務家を積極的に任用し、長期の企業内実習など実習を強化する。課程修了者には「学士(専門職)」または「短期大学士(専門職)」を授与する。
 専門職大(4年制)は、前期(2年または3年)と後期(2年または1年)に区分できるなど、社会人が学びやすいように整備する。なお、ひとつの授業科目について同時に授業を行う学生数は原則、40人以下とする。ちなみに、文科省の補助金はない。
 専門学校よりは深化した学びができるが、4年制大学との競合はないと思われる。

■2019年度開設予定大学等認可申請 (文科省 2017年12月)
専門職大学開設予定大学(13校)
国際工科専門職大学(東京・愛知・大阪)
国際ファッション専門職大学(東京・愛知・大阪)
専門職大学東都学院大学(東京・神奈川)
東京医療福祉専門職大学(東京)
東京専門職大学(東京)
金沢専門職大学(石川)
名古屋医療福祉専門職式学(愛知)
京都専門職大学(京都)
大阪医療福祉専門職大学(大阪)
島根保健福祉専門職大学(島根)
岡山医療専門職大学(岡山)
高知リハビリテーシヨン専門職大学(高知)
福岡専門職大学(福島)