【留学・国際交流情報】グローバル化で留学や国際交流・英語村などが増加。企業も海外留学を支援へ!!

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学生時代の海外留学が、ただいま増加中

 グローバル化が進むにつれて、大学や企業で新たな変化が生まれてきている。大学では海外留学が身近なものになりつつある。ちょっと前までは「留学はお金持ちの子息がするもの……」といったイメージがあったが、今は違う。学部・学科によっては、留学が組み込まれているケースが多いのだ。
 企業も、海外留学の経験者を採用するケースが増えている。外国の生活状況を知り、外国語も話せる学生ならば、企業にとっても魅力な人材のはず。海外留学経験者からは、日本にいた時よりも視野が広がり、価値観が変わった、といった言葉が聞かれる。
 留学経験者の増加にともない、企業でも採用方法の改善を検討しているところが多い。

規模が大きい「トビタテ!留学JAPAN」

 初めに、国をあげて取り組んでいる国策留学ともいうべき、「トビタテ!留学JAPAN」から紹介しよう。文科省は2018年2月15日、2018年度官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」第8期派遣留学生の選考結果を発表した。
 「トビタテ!留学JAPAN」は、官民協働のもと社会総掛かりで取り組む留学促進キャンペーン。2013年10月より開始し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までに大学生の海外留学12万人(現状6万人)、高校生の海外留学6万人(現状3万人)への倍増を目指している。
 第8期は244校から1509人の応募があり、選考の結果、133校の458人が合格した。第8期派遣留学生は、2018年4月1日から10月31日までの間に留学を開始する。

「理系、複合・融合系人材コース」が最多

 申請コース別の合格者数は、「理系、複合・融合系人材コース」206人、「未来テクノロジー人材枠」32人、「新興国コース」56人、「世界トップレベル大学等コース」43人、「多様性人材コース」114人、「地域人材コース」7人。留学先(地域)別にみると、欧州(19か国)171人が最多。ついで、北米(2か国)137人、アジア(16か国)99人などだった。
 5月1日時点での支援企業・団体は229社、支援金は116億8千万円にのぼる。企業・団体からの支援は引き続き募集している。

留学を義務づけている学部・学科もある

 近年は、国際系学部を設置する大学が増えている。従来からの「外国語学系タイプ」だけでなく、「国際関係学系タイプ」「文化学系タイプ」「政治経済学系タイプ」まである。そして、学部ごとに留学を条件にしているケースも目立っている。
 一般的な留学の種類には、
 ①大学独自の留学制度
 ②国(公)費留学
 ③私費留学
 ④民間団体・財団などの奨学金による留学
がある。
 大学独自の留学制度は、海外の提携先大学に、派遣や相互派遣で学生を留学させるもの。6~12か月が平均的。単位互換制度もあるので、留年しないですむ。また、研修制度は、夏休みなどを利用した、短期の「語学研修」が中心だ。
 グローバル時代の到来とあって、「国際」「グローバル」を冠した学部が増え、さらに、海外留学を義務づける学部・学科も目立つ。個人での留学手配は容易ではないから、グローバル人材を目指すのであれば、留学制度の整っている大学に進学したい。

「留学しやすい大学」のチェック・ポイント

 次の4つの制度「4学期制」「秋入学」「交換留学協定校」「ダブル・ディグリー」の有無が、「留学しやすい大学かどうか」の1つの指標になっている。
 最近人気の「国際関係学系」は留学支援制度を整えているところが多い。また、文科省が2014年に採択した「スーパーグローバル大学」(SGU)37校も、「留学しやすい」大学だ。グローバル人材育成のために、1大学につき年額3億~5億円が10年間にわたり拠出されていて、留学希望者への資金援助が充実している。
【4学期制】 学期の区切りを世界標準に合わせるため、前期と後期をそれぞれ2分割、1期8週間ごとに単位を取得する。これによって、単位取得の自由度が容易になる。導入大学は東京大、広島大、慶應義塾大、立教大、早稲田大、南山大、立命館アジア太平洋大など。
【秋入学】 帰国生や留学生などを対象に、国内外から多様なケース・事情を抱えた学生を受け入れるため秋でも入学できる。多くは英語で学ぶ。導入大学は東京大、大阪大、新潟大、国際教養大、早稲田大、関西外国語大、立命館アジア太平洋大など。
【交換留学協定校】 海外大学と学生交流協定を結び、在籍大学に学費を払うことで留学先の学費が免除されたり、留学先での単位取得が可能となったりする制度。この制度は多くの大学で導入している。事前に有無を確認しておきたい。導入大学で多いのは、東京大、筑波大、大阪大など。
【ダブルディグリー制度】 在籍大学と海外大学の両方の学位が、原則4年間で取得できる留学制度。

米国の平均的な州立大で300~400万円

 国をあげて、留学する学生を増やそうとしている時代だ。すでに「トビタテ!留学JAPAN」という留学制度もある。これから進学する学部・学科に関わらず、学生にとっては「留学」が視野に入ってくることになるだろう。学生生活の中における留学についても、家族で話し合っておくようにしたいものだ。
 どれぐらい経費がかかるのか、期間は長期か短期か、また、帰国してからの就活に不利にならないかなど、話し合うテーマは結構多い。留学から帰国したら、就活時期が終了していて、1年間留年を余儀なくされた学生もいるという。大学がどこまでしっかりした留学体制を敷いてくれるかがポイントになる。留学しやすい大学もあれば、そうでない大学もあるから注意したい。
 入学に必要な英語力は、リサーチができ、大学のレポートを書いたりできる力。難関・人気大学になるほど、良い成績が求められる。留学の費用は、国や都市、留学スタイルによって異なるが、授業料と生活費を留学期間中、支払えるだけの資金は必要。米国の平均的な州立大で、年間300~400万円程度になる。

■2016年地名別・留学期間別日本人留学生数
期間・地名 アジア 大洋州 北米 ヨーロッパ
1か月未満 16,266 4,145 8,865 5,786
1~3か月未満 905 1,671 1,818 1,201
3~6か月未満 2,211 1,124 3,759 1,291
6か月~1年未満 2,045 885 3,857 2,799
1年以上 178 92 616 340
21,605 7,917 18,915 11,417
*単位:人 (日本学生支援機構 2017年12月)
■2016年国(地域)別日本人留学生数
  国・地域 留学生   国・地域 留学生
1 アメリカ合衆国 13,085 7 タイ 3.109
2 オーストラリア 6,208 8 台湾 2,996
3 カナダ 5,830 9 ドイツ 1,881
4 韓国 4,604 10 ニュージーランド 1,679
5 中国 4,091 11 その他 13,681
6 英国 3,479   60,643
*単位:人 (日本学生支援機構 2017年12月)


「国際学生寮」の共同生活が国際交流に

 日本にいても「国際交流」ができると、学生の間で人気なのが「国際学生寮」だ。学生寮に海外から来た留学生と日本人学生が一緒に住んでもらう。つまり共同生活をしながら、英語力を高め、異文化体験ができる、注目の留学体験を味わうことができるという施設なのだ。主要な私立大は、すでに国際学生寮を有しているケースが多い。例えば早稲田大や桜美林大などだ。
 留学生と日本人学生が生活を共にすることで、海外からの留学生にとっては日本文化が学べ、また日本人学生は海外留学と同じような気分で英語等が学べる。双方にとってメリットがあるいえよう。

「英語村」をキャンパスに設置、全国で続々

 大学がキャンパス内に「英語村」を開設するケースが増えている。日本語禁止、会話は英語のみというのは近畿大。外国人スタッフと会話しながら自然に英語力がつくと好評だ。開設11年半で来場者は延べ約126万人。国内外から視察が相次いでいる。
 鳥取環境大は国際化に対応するため、施設を2倍の180平方メートルに拡大して開設した。米国、フィリピン出身者ら外国人スタッフが、クイズや料理が体験できるアクティビティーを、毎日実施している。京都外国語大は多言語の学習施設を開設。英語を基本にネーティブスピーカーと自由にしゃべるスペースを設け、語学力アップを図るという。