高校での進路決定の流れ、プロセス
すでに進路は決めているだろうか? 早めに具体的な目標が決まれば、受験勉強へのモチベーションも上がってくる。「将来の夢は何か?」、「どのような人生を送りたいのか?」などを考えてみることで、「何を学ぶべきか」、「どのような大学に進学するのがベターか」などが、明確になってくるだろう。
ここで、一般的な高校での進路決定の流れ、プロセスについて紹介しておこう。
【高校1年時】文理の選択ができるようにする
好奇心を働かせて、どのようなことに興味が持てるか、どのような職業や大学に関心があるか──などについて、多くの情報を集めるように心がける。
高1の3学期までには、「文理の選択」ができるようにしておくことが大切。高2から文系と理系にコース分けをして、授業を行う高校が多い。
学部・学科で将来の職業まで決まってくる
【高校2年時】学部・学科の内容を掘り下げる
高2では、「自身の将来に結びつく学問は何か」、「長く興味が持てそうな分野は何か」などを考え、それが大学のどのような学部・学科で学べるかを調べる。
ちなみに2018年4月現在、全国には754の大学があり、学部数は延べ2000以上、学科数は5000以上にのぼる。学部・学科数が大変多く、圧倒されそうだが、基本は文学部、経済学部、法学部、教育学部、理学部、工学部、農学部、医学部などオーソドックスな学部だった。
その後、時代の流れへの対応、新しい学問の誕生、学問の融合化、スペシャリストの養成などが加わり、学部・学科数が増えてきた。最近は1つの大学にしかない「オンリーワン学部・学科」や「カタカナ学部・学科」が増加し、分かりづらくなってきているのも事実だ。
とはいえ、高校の進路指導部や図書館においてある「大学案内」などを参考にして、学部・学科の内容や特徴を調べることで、大学での学びを知り、どのような資格を取ることができるか、将来はどのような職業に就けるか、卒業した先輩はどのような業界・企業に就職したかなど、将来の職業や仕事について研究する。
系 統 | 学部・学科など |
---|---|
人文科学系統 | 文・人文・外国語・国際など |
社会科学系統 | 法・経済・経営・商など |
理学系統 | 数学・物理・化学・生物など |
工学系統 | 機械・電気・建築・材料など |
農・水産系統 | 農・水産・畜産・獣医など |
医・福祉系統 | 医・歯・薬・看護・福祉など |
家政・生活系統 | 家政・生活科学・栄養・児童など |
教員養成系統 | 教員養成・体育など |
志望校を選び、入試方式を決めて準備
【高校3年1学期】志望校を絞り込んでいく
学部・学科を選んだところで、それらを設置している大学をリストアップする。最近の大学難易ランキング表なども参考にしたい。これらの資料は、高校の進路指導部に備えられているケースが多い。お昼休みや放課後に覗いてみることをお薦めする。
「学びたい学部・学科を選ぶ」→「設置されている大学をリストアップ」→「憧れの大学・自分の実力相応校・安全校に仕分け(大学のレベルをチェック)」→「得られる資格を調査」→「先輩等の就職先・実績を研究」→「大学のカリキュラム・学生生活等を確認」→「入試科目・出題傾向を調べる」──などの手順で進める。
【高校3年2~3学期】入試に合わせて受験
後は、どの入試方式を活用して受験するかを決める。大学によって入試が異なる場合があるから、早めに調べて対応することが必要になる。例えば、国公立大受験→センター試験(1月)+個別試験(2~3月)、国公私立大受験→①AO入試(8月~)、②推薦入試(10月~)、③一般入試(2~3月)など。
自分がどの入試を活用するかを決めたら、出願手続きまで時間が少ないケースもあるから、早めに準備することが大切だ。私立大のAO入試では、8月の受付前からエントリーが始まったりする。推薦入試では、学校長の推薦書や調査書が求められるから、学校には早めに申し出ておく必要がある。
志望大を決める3つのチェックポイント
家計の教育費負担の増加、就職活動の厳しさなどを背景に、大学名などにこだわらない「安全志向」、「大都市部志向」よりも、自宅から通える大学を選ぶ「地元志向」、できるだけ就職に有利な学部を選択する「資格志向」の3つが、現在の入試のキーワードと言える。
また、受験校については、「オープンキャンパスに参加し、自分の目で確かめる」「入試科目・日程・配点ウェート」「合格最低点のチェック」「過去問を解く」「進学にかかる費用」「卒業後の就職状況」などで、総合的に判断して決める。
ともかく、できるだけ幅広い視野を持って、大学を選ぶようにしよう。まず、以下の3つの視点に注目して、自分なりの考えをまとめて決めたい。
①国公立大学か、私立大学か
学力面・環境面・経済面・就職面の4つでチェックする。国公立大に進学するには、まず「センター試験」を受けなければならない。その準備は、今から必死になって取り組めば十分に間に合うはずだ。自己の学力から考えて無理と判断するのであれば、科目負担の少ない私立大にせざるを得ないだろう。
自分の環境・経済・就職面等から見て、地元国公立大の方が通学に便利で、学費の負担も軽く、就職にも有利というのであれば、何とか頑張って国公立大に挑戦してみるのも良いだろう。
②総合大学か、単科大学か
総合大は学部数が多く、規模が大きいのが特徴。当然、学生数や卒業生数が多くなる。したがって、視野を広げ、広範な学問を学ぶには適している。
一方単科大は、少人数での授業が行われており、一般的にはとても面倒見が良い。
③大都市の大学か、地方の大学か
最近は、「地方創生」が国家プロジェクトとして注目され、地方大学と行政との連携などが活性化のキーになっている。それらの関連で、大都市私立大では「定員の厳格化」が求められ、入学が難化傾向にある。
また、地方の大学も多様化・個性化し、特徴を持つケースが多くなっている。地方の特性を生かした、看護や医療福祉を主体とする公立大も多く新設された。したがって、自分の学びたい学科等が地方の大学にある場合は、そこを選ぶのも良いだろう。
経済的には、当然のことだが、都市の方が生活費は高くつくが、アルバイトをする気があればカバーできるかもしれない。また、就職の面では、大都市の方にスケールメリットがあり、チャンスは多いと言えるだろう。
職業・資格 | キーワード |
---|---|
国家公務員 | 国家試験、高レベル、学部は広範 |
外交官 | 総合職試験、語学力 |
小中学校教諭 | 教員養成学部、教員免許、教員採用試験 |
高校教諭 | 教育学部、専門教科、教員免許、教員採用試験 |
幼稚園教諭 | 教員養成系学部等、教員採用試験 |
裁判官・検察官・弁護士 | 法学部、法科大学院、司法試験(法科大学院又は予備試験ルート) |
司法書士 | 法・経済学部系、筆記・口述試験 |
行政書士 | 法学部系、行政書士試験 |
医師 | 医学部(6年)、医師国家試験 |
歯科医師 | 歯学部(6年)、歯科医師国家試験 |
薬剤師 | 薬学部(6年)、薬剤師国家試験 |
看護師 | 看護学部、看護師国家試験 |
獣医師 | 獣医学課程のある大学(6年)、獣医師国家試験 |
管理栄養士 | 栄養・家政学科など、栄養士資格+実務、管理栄養士国家試験 |
公認会計士 | 経営・経済・商学部系、公認会計士試験、業務補助2年 |
税理士 | 法・経済学部系、税理士国家試験 |
パイロット | 操縦科・パイロット養成コースなど、国家試験 |
キャビンアテンダント | 航空会社採用試験、実務訓練 |
気象予報士 | 理学部など関連学部、気象予報士国家試験 |
建築士 | 工学部建築学科など+実務、一級建築士国家試験 |
不動産鑑定士 | 短答・論文式試験+実務・考査 |
情報処理技術者 | 国家試験(13種試験区分) |
CGデザイナー | 理工系・美術系学部、検定 |
旅行業務取扱管理者 | 学部問わず、国家試験(総合旅行・国内旅行)+語学力 |
通訳 | 外国語系学部、通訳案内士国家試験 |
社会福祉士 | 福祉系学部、社会福祉士国家試験 |
社会福祉主事 | 福祉科目修得、地方公務員試験 |
介護福祉士 | 福祉系学部、介護福祉士国家試験 |