【進路選択情報:大学の選び方】大学選択は自分の希望・教育内容・入試難易等で決める。センター試験はラストイヤー。

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後がない2020年度入試は「激戦!!」予想

 2020年度入試は、現行入試システムのラストイヤーとなる。翌年の2021年1月からは、新しい「共通テスト」がスタートする。学力の3要素のうち「思考力・判断力・表現力」などを把握できるような試験になる。これは従来になかったほどの大幅な改革である。当然、受験生は現行入試システムのうちに、何とか合格したいと考えるだろう。
 文科省は浪人生に対して、特別な措置は取らないと公表している。そうなれば受験生は、2020年度入試で何とか合格してしまいたい、というのが本音だろう。志望校のランクを1つも2つも落としてくることになる。その意味で、2019年度入試の特徴だった私立大規模大学の「定員の厳格化」による難化は高止まりのままであり、「安全志向」がさらに強くなり、2020年度入試は激戦が予想される。

安全志向・地元志向・資格志向がポイント

 2020年度入試の特徴を理解したうえで、どのように志望校を決めたら良いか、流れを考えてみよう。まず自分の学力を認識してから、
①文系か、理系かを決めて、
②憧れの職業は何か、興味がある仕事は何か

──などを自問しながら、進路を絞り込む。そして、
③職業の方向性が出てきたら、
④その仕事ではどのような学問が必要になるか、
⑤そのためにはどの学部、学科が相応しいか、最後に、
⑥総合的に判断して志望大学を決める。

 2020年度入試のポイントは、確実な合格を狙う「超安全志向」に加えて、経費が安くて済む「地元志向」、就職に有利な「資格志向」である。

現段階で「志望校10校」は多過ぎない

 現段階では、志望校が10大学くらい存在しても構わない。その後は、受験勉強による自分の実力の伸長を確認しながら、志望校から受験校へと絞り込んでいく。それに入試日程等の諸条件を検討し、秋には受験校を決めることになる。
 国公立大学の場合は、2020年1月18日・19日のセンター試験後に受験大学に出願する。センター試験の結果次第で、最終的に受験校(出願大学)を決定することが可能である。
 私立大学の場合、一般入試の出願受付は例年1月になるとスタートし、2月に入試実施というのが一般的なスケジュールだ。遅くとも、年内には受験校を決めよう。

視点を変えて志望大学を検討してみる

 いろいろな角度から、視点を変えて大学を選択していくことも重要になる。視点の切り口を挙げながら説明してみよう。
1.国公立大学か、私立大学か
 国公立大学の場合は、学力面が足りているかポイントになる。自己の学力から考えて、無理と判断するのであれば、科目負担の少ない私立大学にせざるを得ないだろう。
2.総合大学か、単科大学か、女子大学か
 総合大学は学部数が多く、規模が大きいのが特徴。当然学生数や卒業生数が多くなる。都市圏の大規模大学は「定員の厳格化」によって、難化傾向だから注意が必要だ。一方、単科大学や女子大学は、少人数での授業が行われており、面倒見が良いと言える。
 就職時や社会に出てからは、総合大学は卒業生が多い分だけ活躍する先輩も存在し、人脈作りには大きなメリットがある。
3.大都市の大学か、地方の大学か
 最近は、「地方創生」が叫ばれ、地方の大学が頑張っているケースもある。教育学部の改組などによって、最近注目されている、文理融合の学部が生まれたりしている。生活費は地方の方が安くつくが、大都市にはアルバイト先が多くあり、補填することも可能だ。

大学の教育内容・キャンパスもチェック

4.大学の教育内容・カリキュラムはどうか
 同じ学部・学科名であっても、大学によってその中のコースや専攻が違ったり、力を入れている分野が異なったりすることもある。大学案内や大学のホームページで確認するようにしよう。
 例えば、工学部でも細分化され、先端分野や基幹分野に分けたりしているので、内容をしっかりと把握しておく必要がある。
5.卒業後の進路・取得資格は決めたか
 大学では自分の興味のある学問を学ぶべきだろう。その視点から、進路を決めるようにしたいものだ。資格についても、将来就きたい仕事に特定の資格や免許が必要な場合は、それが取れる大学・学部に進む必要がある。
6.キャンパスの所在地・施設はどうか
 大学のキャンパスは、オープンキャンパスなどで見ておいた方がよい。すべての学部が1カ所に集中しているのであれば、図書館の利用等も含め効果的に学ぶことができる。大学が都市の郊外にあると、アルバイト先も少なく、学生が敬遠する場合もある。首都圏では郊外から都心にキャンパスを移す「都心回帰」によって、志願者を伸ばした大学は多い。
 大学の所在地によっては、通学時間がどれほどかかるか、チェックしたい。通学時間は片道2時間以内が目安だろう。路線バスやスクールバスは、結構ロスをするから注意したい。また、工学系では新しい実験機材でないと、社会に出てから役立たない場合もある。常に施設を新しく保っている大学は魅力的だ。

伝統、創立の経緯や建学の理念は?

7.大学の学風・カラー・雰囲気はOKか
 大学には、それぞれに創立の経緯や建学の理念、独自の歴史がある。創立100年を超える大学もあれば、まだ卒業生も出していない創立間もない大学もある。
 体育系と文科系では大学の雰囲気が違ってくる。どちらが良いとか悪いとかではなく、どちらが自分に合っているかが決め手になる。

私立大学入試には対策の仕方があるはず

8.入試で大きな変更点はあるか
 入試の難易はどのような要因に左右されて起こるのか、考えてみよう。
 「新増設・改組・定員」(定員の増減)、「入試日程・科目・配点」(外部英語試験の利用)、「入試の難易度」(隔年現象)、「センター試験利用入試」(併願チャンスの拡大)、「学外会場試験」(地方会場試験)、「試験日自由選択制」(日程重複への対応)、「全学部日程入試」(目標大学への挑戦)、「学内併願」(受験料割引)などに変更があった場合、入試の難易も変わってくる。
 国公立大学は前期・後期日程の2回の受験チャンスがあるが、後期を廃止したりするとたちまち入試の難易は変わってくる。公立大の中期の拡大も、入試に変動を与えることになる。

学費や生活資金の計画を立てる

9.進学にどれだけお金がかかるか
 学部系統、国公私立大学、自宅通学、マンション生活、アパート生活、寮生活かなどの条件によって、学費・生活費が大幅に違ってくる。
 これらお金の問題については、大学に行くと決めた時点で、保護者と十分に話し合い、どうするかを決めておくことが大切。
10.奨学金を利用できないか
 奨学金には、貸与型と給付型の2種類がある。貸与型であれば卒業後の返済が必要だが、近年は多くの大学が返済不要の給付型奨学金を設置している。志望校の奨学金制度を比較して自分にあったものを見つけよう。