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【推薦入試】推薦入試の中心となる公募制推薦では「調査書」が重要。小論文・面接対策にも力を入れたい。

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国公立大の推薦入試は狭き門

少子化が進み、受験生が減少する中で、逆に毎年少しずつ増えているのが推薦入試による入学者。特に私立大では、入学者全体の4割を占めるまでになっている。受験勉強の負担が少なく、一般入試よりも早めに合否が決まることなどが、人気の要因のようだ。
推薦入試は、大きく「公募制」と「指定校制」の2つに分けられる。
「公募制推薦入試」は、大学が提示した出願条件を満たし、学校長の推薦が得られれば誰でも出願可能。国公立大の推薦入試はすべてこの公募制だが、募集人数が少なく、成績基準も厳しい(評定平均値4.0以上が多い)ことから、非常に狭き門になっている。
国公立大が実施する推薦入試には、センター入試を課すタイプのものもあり、最近はこうした「プラスセンター入試型」が増加傾向にある。また、「県内の高校に限る」といった地域枠を設けている一部の国公立大もある。
なお、国公立大学の推薦入試は1大学しか応募できない。

私立大の中堅クラスは面接重視

一方、私立大の公募制推薦入試は、大学・学部によっては評定平均値3.0前後から出願できるなど、最近はかなり条件が緩くなってきている。他大学との併願を認めているケースも見られる。また、オーソドックスな「一般推薦」に対して、学業成績以外の能力や実績を評価する「特別推薦」を実施しているところもある。周囲の人からも高く評価されるような特技や人に誇れる実績があれば、自己推薦で応募してみるのもいいかもしれない。
もう一つ、私立大を主体に実施されている入試に「指定校制推薦入試」がある。どの高校の生徒でも出願できる「公募制推薦入試」と違って、大学が指定した高校のみが対象となる。
募集枠も1校につき1~2名程度と少ないため、高校内での選考のハードルはかなり高い。書類審査や面接で合否判定を行う場合が多く、応募者は専願(合格したら必ず入学する)が通例だ。

■公募制推薦と指定校推薦
公募制
推薦
一般推薦 大学が定める出願条件を満たしていれば、学校長の推薦により応募可能。
評定平均値に基準があることが多い。
特別推薦 学業成績中心の一般推薦に対し、スポーツや文化活動、資格などの実績を評価。
評定平均値に基準があることは少ない。
指定校制推薦 大学が指定する高校から人数を限って受け付ける入試方式。合格率はほぼ100%。
調査書が重視される。
■私立大「特別推薦」の主な種類
推薦名称 出願基準のポイント
スポーツ推薦 競技種目指定、全国・県レベル
一芸一能推薦 優れた技能などを有する人
資格推薦 高レベルの資格を有する人
文化活動推薦 県レベル以上のコンクール優勝者など
課外活動推薦 生徒会・クラブ活動のリーダーシップ
社会活動推薦 ボランティア活動などの実績
自己推薦 ジャンルを問わず自信がある人

私立大の多くは年内中に合否が決定

推薦入試は一般入試よりも早い時期に実施される。公募制推薦の出願受付は、原則11月1日以降とされているが、私立大は10月ごろから開始する大学が多い。願書の取り寄せや提出書類の準備(調査書・推薦書の先生への依頼、志望理由書の作成)は早めに済ませておいたほうがいい。
また、調査書の評定平均値に影響するのは、3年1学期(前期)の期末テストの成績まで。手を抜かずに最後までベストを尽くそう。7~8月に行われる先生との三者面談までには志望大学を絞り込み、計画表なども作っておきたい。
なお、国公立大を含む各大学の入試日程は、大学・学部により大きく異なる。次頁に示した「推薦入試スケジュール」はあくまでも目安と考えてほしい。

■公募制推薦入試のスケジュール

公募制推薦入試のスケジュール

「書類審査・小論文・面接」が3本柱

推薦入試の選考方法は大学・学部によってさまざま。書類審査のみの大学もあれば、学力検査(センター試験を含む)や実技テストを課す大学もある。なかでも最も多いのは「書類審査+小論文(作文)+面接」というパターンだ。それぞれ内容をチェックし、しっかり対策を立てておきたい。
まずは書類審査だが、必要な書類(調査書・推薦書・志望理由書)のうち、学校長が作成する推薦書を除けば、日常的な努力や工夫次第で合格の可能性を伸ばすことも大いに可能だ。
例えば、調査書は、前述したように3年1学期(前期)までの学業成績や活動記録などが反映される。そのため、推薦を目指す場合には、1・2年の時から意識的に各教科の勉強や諸活動に取り組むことが大切になってくる。
調査書に記載される学業成績の項目は「各教科の学習記録」「全体の評定平均値・学習成績表」「学習成績概評」など。それ以外の項目では「出欠の記録」「特別活動の記録」なども注視される。遅刻や欠席などをなるべくしないよう、日ごろから健康で規則正しい生活を心掛けるとともに、部活動や生徒会活動などにも力を入れ、充実した高校生活を送ってきたことをアピールできるようにしよう。
また、調査書とともに付ける志望理由書は、「なぜ入学を志望したのか」「大学で何を学びたいのか」などについてまとめたもので、受験生本人が作成する。作成上のポイントは、AO入試のページに概説してあるので参考にしてほしい。

■2020年度から全大学のAO・推薦入試で学力評価が義務化!
2020 年度から、国公私立大学のAO・推薦入試に学力評価が義務付けられることになった。これは昨年5月に文部科学省が発表したもので、入学者の一部に学力不足が指摘されていることを踏まえ、一定の学力の確認を求めることが狙いという。
大学入試センター試験に代わって20 年度から導入される新テスト「大学入学共通テスト」や、各大学独自のテスト、小論文などのいずれかを課し、受験生の学力を把握するよう各大学に求めていく方針だ。
AO・推薦入試の受験を考えている高1・2 年生の諸君は、今後、面接や小論文対策に加え、学力テストの対策にも力を入れていく必要があるだろう。

「集団面接」では他者との差別化を

面接は多くの推薦入試に取り入れられているが、選考時の扱われ方は大学によって大きく異なる。結果を点数化して合否判定の材料にする面接重視型の場合もあれば、参考程度にしかしていない大学もある。参考程度ということであれば合否判定への影響は少ないと見ていい。ただし、面接態度によっては減点対象になることもあるので注意したい。
面接の形式には、受験生1人に対して面接官1~3人程度で行われる「個人面接」と、受験生2~5人をまとめて面接する「集団面接」がある。受験生の多い大学は、時間短縮のために集団面接を採用しているケースが多い。
個人面接では面接官とのやりとりに集中していれば問題はないが、集団面接の場合は、他の受験者の回答にも耳を傾け、それらとの差別化を図ることも必要だ。

「学習意欲」と「人間性」が問われる

面接での質問内容は、主に「志望動機・志望理由」「将来の進路」「高校生活」が中心になる。また、面接官がチェックするポイントはおよそ以下の通りである。
①学習意欲・適性(勉学や将来目標に対する意欲があるか。学部・学科で学ぶ基礎学力や適性があるか)
②性格(自主性、積極性、向上心、協調性などがあるか)
③一般常識(時事問題などの知識はあるか)
④礼儀・態度(身だしなみ、挨拶、言葉遣い、声の大きさ、落ち着き具合など)
⑤健康状態(過去の病歴など)
特に近年は①に関して、大学で学ぶにふさわしい「基礎学力」「表現力」「コミュニケーション能力」などを備えているかをチェックするケースが増えている。理系の場合は基礎学力を問う「口頭試問」を行うところもあるので、面接前には関連教科の基本事項を確認しておこう。
もちろん②~⑤についてもしっかり対策を取っておきたい。面接で重視される「人間性」とは、性格や向上心、教養など、その人が備えているすべての要素。それらを総合して見た結果、その大学が掲げる「期待する学生像」によりマッチしていれば高評価になり、逆なら評価は低くなる。
いずれにしろ、面接前には事前に先輩などから目指す大学の情報を入手して十分に対策を練っておきたい。面接形式、質問内容の傾向、評価方法が分かれば、面接の準備や模擬練習などもポイントを絞り込んだ形で行うことができる。

新聞記事・社説で小論文対策を

最後に、小論文対策についても概説しておこう。大学入試の小論文は、学力検査の一環として課されるものが多い。「漢字力」「読解力」「表現力」「論述力」などがしっかりとチェックされる。
出題形式は以下の4つがある。

出題形式 出題形式
■小論文の出題形式
課題論述型 与えられた課題について考えをまとめる
文章読解型 内容を要約し、自分の意見を述べる
資料分析型 グラフなどから特徴や傾向を読み取る
教科試験型 特定教科の基礎学力を問うもの

大学入試における小論文は、高校で身につけた学力を確認するというよりも、むしろ、日常における受験生の問題意識や思考過程、総合的な知識力を問う側面がある。
そこで、対策として有効なのが新聞や本を読むことだ。新聞の政治・経済・国際面や社説、コラムなどを毎日チェックすることを習慣づけよう。気になる記事は、後でもう一度目を通し、内容を要約したり自分なりの意見を原稿用紙にまとめたりすることで、かなり力をつけることができる。
また、小論文のテーマは、例えば経済学部なら経済政策や国際貿易、工学部なら先端技術や新エネルギー問題といったように学部・学科により出題傾向が異なるため、その点も留意しておきたい。