国公立大の志願者減で倍率は下降傾向
「令和2年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」(2月20日 文科省)から、特徴的な大学を紹介してみよう。
高倍率の大学・学部を見ていくと、前期は東京芸術大学(美術)は例年通りの人気、東京工業大学(情報理工学院)はAI(人工知能)やビッグデータ関連への関心、後期は東京外国語大学(国際社会)の高倍率は、グローバル化の流れを反映した結果だろう。公立大の人気が上昇し、山陽小野田市立山口東京理科大学などが目立った。
全体的に国公立大は志願者が減り、例年人気が高い大学の志願倍率もダウン傾向だった。
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 東京芸術 | 美術 | 11.9倍 |
2 | 東京工業 | 情報理工学院 | 9.1倍 |
3 | 広島 | 法(夜) | 7.9倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 東京外国語 | 国際社会 | 25.9倍 |
2 | 旭川医科 | 医 | 23.9倍 |
3 | 山形 | 工(フレックス) | 22.0倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 島根県立 | 総合政策 | 10.8倍 |
2 | 釧路公立 | 経済 | 10.4倍 |
3 | 山陽小野田市立山口東京理科 | 工 | 9.4倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 公立諏訪東京理科 | 工 | 36.1倍 |
2 | 山陽小野田市立山口東京理科 | 工 | 35.7倍 |
3 | 岡山県立 | 情報工 | 29.6倍 |
順 | 大学名 | 学部等 | 志願倍率 |
---|---|---|---|
1 | 島根県立 | 人間文化 | 46.7倍 |
2 | 新見公立 | 健康科 | 33.4倍 |
3 | 長崎県立 | 情報システム | 29.7倍 |
(文科省:2020.02.20)
国公立大:薬・看護系統の人気が高い
「学部系統別志願状況」で倍率を前年と比べると、情報分野など時代の流れが見えてくる。
学部系統別の志願倍率は、①「薬・看護」5.1倍(前年5.4倍)、②「人文・社会」4.7倍(同5.1倍)、③「医・歯」4.5倍(同5.0倍)、④「理工」4.3倍(同4.4倍)、⑤「農・水産」3.8倍(同4.1倍)、⑥「教員養成」3.6倍(同3.9倍)、「その他」4.7倍(同5.2倍)。
国公立大の志願者数が減少する中で、学部系統別の志願倍率は前年と同様の傾向を示した。「その他」は①~⑥以外の学部等という意味で、創生、情報文化、体育、芸術、音楽、デザイン、データサイエンス、環境共生などが含まれる。また、文理融合学部も注目されている。
私立大:工学・理学系統が前年比で増加
ここで私立大「学問系統別志願動向」(2月20日、西北出版調べ)を見てみよう。
系統 | 志願者数 | 前年増減 | 前年比% |
---|---|---|---|
人文科学 | 382,776 | ▲27,092 | 93.4% |
社会科学 | 1,003,478 | ▲111,897 | 90.0% |
理学 | 131,019 | 548 | 100.4% |
工学 | 532,090 | 5,435 | 101.0% |
農学 | 56,637 | ▲3,977 | 93.4% |
医療・保健 | 96,993 | ▲8,983 | 91.5% |
家政 | 13,491 | ▲1,453 | 90.3% |
教育 | 67,218 | ▲6,035 | 91.8% |
教芸術 | 12,306 | 403 | 103.4% |
教学際・総合 | 100,032 | ▲14,900 | 87.0% |
(注)単位:人、▲はマイナス (西北出版 2020.02.20現在)
殆どの学問系統で志願者を減らしている中、前年比プラスとなったのは、工学・理学・芸術の各系統。近ごろはAI(人工知能)、IoT、データサイエンスなどの情報関連が注目され、受験生もこれらの分野を志向しているようだ。武蔵野大学のデータサイエンス学部は、35.8倍(2/20現在)になっている。
特に社会科学系統のマイナスは大きく、大規模大学のセンター利用入試の減少が大きく影響しているようだ。