国公立大志願倍率は4.4倍で対前年減
文科省は2月20日、「令和2年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」を公表した。国立(前期)は募集人員6万3828人に対し、志願者数が18万2772人で、志願倍率が2.9倍。国立(後期)は募集人員1万4168人に対し、志願者数が12万4420人で、志願倍率が8.8倍となった。
国公立(前期・後期・中期)合計は募集人員10万146人に対し、志願者数が43万9565人で、志願倍率が4.4倍と前年度の確定志願倍率と比べて0.3ポイント低かった。対前年で、志願者数が3万271人も減少した。
また、前年度の最終志願者数を上回った大学は171大学のうち47大学(国立17、公立30)、学部別に見ると611学部のうち191学部(国立124、公立67)であり、大学、学部とも約7割が対前年で減少している。
志願者数1位は近畿大、日本大が復活
20年度私立大入試では、今年も文科省の定員管理の厳格化を受け、各大学が合格者数を絞り込んだ。さらに、受験生が来年導入の「共通テスト」を敬遠し、「安全志向」が高まったため、上位の難関大は志願者を減らした。右表の▲印を見れば、軒並みダウンが一目瞭然だ。
志願者数1位は近畿大学、2位~5位は日本大学、早稲田大学、法政大学、明治大学の順。日本大学、立命館大学の増加は、前年にダウンした反動だろう。また、千葉工業大学の躍進は、理工系大学の「安全志向」の影響かもしれない。
「安全志向」の高まりで、AO・推薦が注目
前年の志願者が減った大学は反動で翌年増え、増えた大学は翌年減る「隔年現象」は、20年度入試でも見られた。駒澤大学、東洋大学、武蔵野大学などの志願者減は、前年の増加の影響かもしれない。
20年度入試全体の総括をしないと正確には判明しないが、「安全志向」の高まりで、入試前半の「AO入試」、「推薦入試」の人気が高まったようだ。受験生に「早めに合格を決めたい」の心理が働いてもおかしくない。例年になく、難関私立大の「指定校推薦」が注目された。
大学名 | 志願者数 | 前年増減 | 前年比% |
---|---|---|---|
東北学院 | 8,788 | ▲1,940 | 81.9% |
千葉工業 | ★92,442 | 1,566 | 101.7% |
青山学院 | ★57,822 | ▲2,582 | 95.7% |
学習院 | ★16,932 | ▲2,211 | 88.5% |
慶應義塾 | ★38,454 | ▲3,421 | 91.8% |
駒澤 | 27,301 | ▲21,414 | 56.0% |
芝浦工業 | 40,039 | ▲6,466 | 86.1% |
上智 | ★26,156 | ▲1,760 | 93.7% |
専修 | ★47,765 | ▲8,436 | 85.0% |
中央 | ★85,228 | ▲7,458 | 92.0% |
東海 | ★48,816 | ▲9,179 | 84.2% |
東京理科 | 55,604 | ▲4,989 | 91.8% |
東洋 | 81,539 | ▲40,471 | 66.8% |
日本 | 107,170 | 6,317 | 106.3% |
日本女子 | 11,301 | ▲2,311 | 83.0% |
法政 | ★103,628 | ▲11,819 | 89.8% |
武蔵野 | 35,943 | ▲4,770 | 88.3% |
明治 | ★102,607 | ▲9,148 | 91.8% |
立教 | ★61,308 | ▲7,488 | 89.1% |
早稲田 | ★104,576 | ▲6,762 | 93.9% |
南山 | ★22,137 | ▲2,665 | 89.3% |
名城 | ★38,177 | ▲668 | 98.3% |
京都産業 | 52,562 | ▲2,788 | 95.0% |
同志社 | 49,922 | ▲3,829 | 92.9% |
立命館 | 94,874 | 676 | 100.7% |
龍谷 | 49,964 | ▲5,480 | 90.1% |
関西 | 76,138 | ▲17,314 | 81.5% |
近畿 | 129,223 | ▲25,493 | 83.5% |
摂南 | 26,787 | ▲11,725 | 69.6% |
関西学院 | ★32,301 | ▲6,525 | 83.2% |
西南学院 | ★20,768 | ▲1,521 | 93.2% |
福岡 | ★50,708 | 421 | 100.8% |
(注)単位:人、★は確定、▲はマイナス(2020.02.20現在)
(データ:各大学HP+西北出版「志願者速報」より)